Θたけのこ たびの話とか

たびの話、科学の話、読んだ本の話 とか

ジュール・ヴェルヌ 八十日間世界一周 ほか

八十日間世界一周をたまたま読んで、一通り読みたくなった。

小説ごとに主人公の出身国が違うのが、主人公のキャラクターに反映されているのだろうか。

厳密な理論や数値はわからないけれど、理論と数値に基づき気球や潜水艦やロケットや様々な道具をつくり、旅に出る。

仲間割れしない。危機に際して冷静に機転を利かして協力してひたすらに旅をする。

基本的に土地土地に対して偏見や侮蔑的なものが無い。

 

八十日間世界一周 Le Tour du Monde en Quatre-Vingts Jours」

読みたいと思いつつ、映画で見たこともあるし、結末も知っているので、なかなか読む気にならなかったのだけど、ようやく読むことができた。

フォッグ氏が駆け足で旅するのがもったいないなあ、と思いつつ、私も駆け足で旅したので、街の印象の記述に親近感を感じる。帰りのチケットのフライトまでの間に、たよりにならない情報をもとにその場所まで向かう。

1872年12月21日午後8時45分が期限。ロンドンからフランスに渡りイタリアまで抜けてカイロ、アデンを経てインドまではあっという間に進むのは、当時すでにインドまでは当たり前に渡航できた、ということなのだろうか。

予定のスケジュールに実際の到着地を重ねていく。余裕があると寄り道して、遅れていると途中を省略する。旅の仕方も似ている。私は途中で途方に暮れたりしたけど、フォッグ氏は常に沈着冷静。象を使ったり、船員を買収したり、燃料にするために途中で乗船している船を買ったり、とお金があるから冷静でいられるのか。一方でインドでアウダ夫人を助けたり、インディアンに捕まった従僕パスパルテゥーを助けたり、と、そういった面を隠し持っている。私も途中での思いがけない出会いを楽しんだ。

Quatre-Vingtsという言葉の響きがいいのかな。

 

「気球に乗って五週間 Cinq semaines en ballon」

デビュー作。気球でアフリカ大陸を横断!アフリカを旅する前に読みたかった。水をブンゼンの電池で分解して水素を得て、それを暖めたり冷ましたりして制御するヴィクトリア号という気球をつくったイギリス人サミュエル・ファガーソン教授が、従者ジョーと猟の好きなディック・ケネディーとザンジバル島から旅立つ。「わたしは、わたhしの道を行くのではない。わたしのあとにできるのがわたしの道なのだ。」空からの形容がグーグルアースを見ているようで面白い。

かつてアジアが文明の中心で、そこの土地が収奪されて人はヨーロッパに移った。そこもだんだん活力が落ちてきて、アメリカに移ろうとしている。そこもやがて収奪されると、いよいよこのアフリカが活力のある場所になるだろう、と語りながら、リュヌ地方を訪れる。月の山。まだナイル源流とは知られていなかったのか。。

現地人に襲われたり、チャド湖で鷲に穴をあけられて不時着したり、無風の沙漠で身動き取れなくなったり。

現地人にとらわれていた司祭を助け、神のもとに返す。そこで金鉱を発見したが「人間として何が大切か」「金が人を幸せにするのか」と問い、持ち帰ることを断念させる。

荷物もゴンドラも捨てて、草を燃やし、グイナの滝にたどり着く。

 

地底旅行 Voyage au centre de la terre」

ハンブルクに住むリーデンブロック教授はルーン文字で書かれた文書を甥のアクセルに助けられて解読すると、アルネ・サクヌッセンスがアイスランドのスネッフェルス山から地球の中心に到達した旨記載されていた。ガイドのハンスを雇い、地底の旅に出かける。「運命がいかなる道を示そうと、ただその道を行かん エト・クァクンウェ・デデリト・フォルトゥナ・セクァムル」ウェルギリウス アエネイスの言葉。

理論的に位置や方角などを計算する教授に対し、ところどころのつじつまの合わない点をいぶかしがるアクセル。しだいにアクセルの方が積極的に進んでいく。このやりとりが面白い。この面白さがなんだろう、と思っていたら、解説によればまさにドン・キホーテそのもの。

地底に海をみつけ、まさに地中海。火山噴火により、ストロンボリ島から地表に戻る。4800km11週間の旅だった。

 

海底二万里 Vingt mille lieues sous les mers」

パリ自然史博物館のピエール・アロナックス教授が、ネモ館長の潜水艦ノーチラス号

に拉致されて海底の旅に。潜水艦は水を圧縮して重くすれば沈む。「陸に必要なのは新しい大陸ではなく、新しい人間」

紅海と地中海はアラビアン・トンネルでつながっていた。

アトランティス大陸上陸。

南極点到達。

フェロー島とロフォーテン諸島の間にある大海のへそで脱出。

 

「ミステリアス・アイランド L’ile mysterieuse」

南北戦争から脱出したサイラス・スミスとニューヨーク・ヘラルドの記者ギデオンス・ピレットら5人が太平洋の孤島に漂着する。

ロビンソン・クルーソー的なところ、こちらは次々と文明の利器をつくりあげていく。ダイナマイト、蝋、一粒の麦から麦(一粒に10穂、1穂に80粒)、石炭を燃やして精鉄。亜鉛とカリを用いて電池、鯨のひげを使ったわなで猟、など。

危険が迫るときに奇跡的に助かることが幾度かある。海底二万里のネモ館長が助けてくれていた。

 

「月世界に行く Autour de la lune」

 アメリカの大砲クラブのインペイ・バービケーン会長とニコール大尉とフランス人ミシェル・アルダンが12月1日20:47にフロリダの900フィートのコロンビナード砲で40万ポンドの綿火薬により直径108インチ、19,250ポンドのアルミニウム製砲弾により月に向かう。彗星に軌道を曲げられたり、月で火山噴火に遭遇したりするも12日1:17太平洋に落下。

 

「地軸変更計画 SANS DESUS DESSOUS」

北極圏が競売にかけられ大砲クラブの北極実用化協会ガエヴァンジェリーナ・スコービット夫人の援助により81万4000ドル、平方マイルあたり200セントで落札。月旅行の際の大砲を改良したメリーライト火薬(メリメラはごたまぜ)2000tにより18万tの砲弾を発射して地球の自転軸を変えることで北極を温暖な場所に移す作戦。場所はキリマンジャロ。数学者JTマストン。

 

「氷のスフィンクス Le sphinx des glaces」

エドガー・ポーによるアーサー・ゴードン・ピムの冒険の物語に惹かれジョーリング具は レン・ガイ船長のハルブレイン号に乗船させてもらい、南極をめざす。

 

十五少年漂流記(2年間の休暇)DEUX ANS DE VACANCES」

ニュージーランドオークランドのティアマン寄宿学校の生徒が夏休みにスラウギ号の旅に出るところ、乗組員不在のうちに流されてしまい、漂着。

「おそれずにおこなえ。常に努力せよ。つかれは有益である。これを実行すればからだも心もしっかりしてくる。」

「どんな危険な状態におちいっても、秩序と熱心と勇樹とをもってすればきりぬけられないことはない」

 

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