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チャールズ・ディケンズ

62海外小説

ロンドンを舞台とした小説。貧困に絡む。一連の話に事後談が入る。

 

「デイヴィッド・コパフィールド」

ディケンズの自伝風小説。

実際は両親とも健全だったそうだけど、小説では誕生前に父を失っている設定。

乳ペゴティの甥のハムや娘のように育てられているエミリーと暮らしていたが、母クララはマードストンに言い寄られ再婚する。マードストンは姉と共に家に入り、デイヴィッドに暴力をふるい、母が亡くなった後、セイレム塾をやめさせ、酒屋のマードストン・グリンビー商会で働かせ、貧乏人ミコーバーのもとで暮らす。ミコーバーは借金で逮捕される。

デイヴィッドは脱出し、ロンドンの伯母ベッチー・トロッドウッドの家に向かい、トロットウッドと姓を変え、学校に通う。法律事務所を営むウィックフィールドに預けられ、娘のアグニスと出会う。「エミリーを愛している。が、アグニスの場合は、愛しているというのではない―そう、恋愛などというものでは、決してないのだ―だが、考えてみると、アグニスのいるところ、そこには、常に善意がある、平和がある、真実がある。そして彼女のそばにいるかぎり、いつか遠い昔に見た、あの教会の彩色ガラス窓の柔らかい光が、絶えず彼女の上に注ぎ、私の上に注ぎ、そしてまた、あたりのあらゆるものの上に、注ぎ落ちる」。優しい姉、「相談相手であり、友達であり、またその淑かな、そして自己犠牲的な友情に触れるものにとっては、誰に対しても、いわば守護霊とでもいえるようなアグニス」。「「希望」の女神」。書生のユライア・ヒープが法律事務所ののっとり、アグニスとの結婚を夢見ている。ユライア・ヒープは本を読むとき、痩せこけた人差し指で一行々々たどって読んでいるのだが、それにつれて、ページの上に、まるで蝸牛が匍ったかのように、べっとり、粘液の筋がついていく。笑顔は、ただ口をひろげると、両の頬を顎にかけて、一本ずつ、深い皺のできるのが、それが笑顔のかわり。ほとんど目たたきということを知ら。ない目のかわりに、まるで鼻の方が、またたいている。幾度となく、両掌ををこすり合せる。濡れたものでも、温めて乾かすように、ぎゅっと強く、絞るようにこすり合せる。セイレム塾で一緒だったスティアフォースと再会。故郷のエミリーはハムと結婚する予定。卒業後はスペンロウの事務所で代訴人見習いとして働く。その娘ドーラに一目惚れ。「なんという美しい名前だろう!」「一瞬にして、一切は終った。私の運命は決ったのだった。私は俘虜になり、奴隷になった。」「彼女は、人間以上のものだった。仙女であり、妖精であり、そしてまた、なんというか、―誰もまだみたことのないもの、しかも、すべてのものが、恋い、そして求めたものだったのだ。」「私は、一瞬にして、恋の深淵深く呑まれた。崖縁に足を止める余裕もなく、見下ろし、ふりかえる暇もなく、いや、まだ直接言葉をかけるだけの分別さえもないままに、一路、転落して行ったのである。」。

エミリーとスティアフォースが駆け落ち。ウィックフィールドの事務所がユライア・ヒープにのっとられ、アグニスに迫る。伯母にドーラを紹介すると「恋の盲なのよ」と言われる。伯母が破産、スペンロウが死亡。

物書きをはじめ成功し、ドーラと結婚するも、ドーラは家事が全くできないし教養も無い。ドーラ病死。直前にアグニスに会いたい、と懇願。ミコーバーがユライア・ヒープの書類偽造などの詐欺を告発。スティアフォースは嵐の中、難破して死んでしまう。大陸を3年旅して、ロンドンに戻りアグニスと再会、結婚。「希望につけ、失望につけ、君って人が、なくてはならない人間になってしまったためにね、何事によらず、君を信じ、君を頼ることが、いわば第二の天性みたいになっちまったんだよ」「そして、君を愛するという、もっと肝心なことまで、しばらく置き忘れてしまったような形になったんだよ!」。ドーラは、アグニスに、「あたしのいなくなったあと、かわにりになっていただきたいのは、あなただけ」と言い残していた。アグニス「君だけは、変わらずそばにいてもらいたい、あの高く天をさして」。

 

死別で話が進んでいくのが不満。

 

クリスマス・キャロル

クリスマスイブ、エブニゼル・スクルージ。「私はクリスマスを祝いはしない。なまけ者が浮かれ騒ぐためにびた一文出しはしない。」「死にたい奴らはしなせたらいいさ。そうして余計な人口を減らすんだな」書記のボブ・クラチットがクリスマスを休みたい、と言うと、「君が仕事もしないのに一日分の給料を払う」と文句を言う。暗い部屋に戻り粥を啜ろうとすると、7年前に亡くなった相棒ジェイコブ・マーレイが現れる。三人の幽霊が来ることになっている。三人にきてもらわなければ、私と同じ道を行かなければならない。と。

翌日第一の幽霊。過去。かつてスクルージが付き合った女性が子供たちと楽しく過ごしている。「あならの気高い向上心が一つずつ一つずつ枯れ落ちて、とうとう、お金儲けという、一番大きな欲がすっかりあなたを占領してしまうのを見てきました」

その翌日、第二の幽霊。現在。ボブの息子ティムの余命は少ないらしいが、幽霊は、「もしあの子が死にそうならその方が結構ではないか。余計な人口が減るわけだからね」と、かつてスクルージが言った言葉を言う。甥や姪がスクルージのことを、「あの人の財産はあの人にとって何の役にも立っちゃいない」「あの人の感じの悪いむら気で、だれが迷惑するというんだい」「あの人が僕らを嫌って、僕らと一緒に楽しくすごそうとしない結果はね、なんの害にもならない愉快な時間を少しばかり損をしただけ」と言っている。幽霊は「人間がどれほど変異しようと、堕落しようと、ひねくれようと、この二人の化け物の醜悪さ、無残さには到底及びはしない。」。二人とは男の子「無知」と女の子「欠乏」。男の子の額には「滅亡」と出ている、と言う。

その翌日、第三の幽霊。未来。誰かが亡くなったらしい。参列する人は誰もいないよ。弁当が出るなら行ってもいいが、とか言われている。彼に家からはあらゆるものが捕られていく。死体からは服も脱がされる。「私がいなかったら、無駄にしちまうところだった」「あの男が生きてる時にはだれもかれもあの男を恐がって寄りつかないようにしたが、それ死んでからこうして私たちに儲けさせてくれるためだったんだよ。」スクルージは「私もこの不幸な男のようになるかもしれなかったのですね。」と幽霊の現れた考えるが、この男は自分自身だった。自分の運命を入れ換えてもらいたいあまり、最後の祈りに両手を差し上げた時、寝台柱の一本となってしまった。

体が軽い。笑ってみた。黄金の日光、神々しい空、甘い爽かな空気、たのしい鐘の音。散歩した。町行く人と話す。何もかもが愉快にしてくれる。ボブに会う。給料を上げ、生活を援助する、と伝える。「この古き善き都ロンドンで、誰からも愛されるよき友、よき主人、よき人となった。この素晴らしい世界のどの市、どの町、どの区を探しても、彼ほど慈愛に満ちた人間はまたといないと言ってよかろう。」「神よ、私たちをおめぐみください、みんな一人一人を!」

  

オリバー・ツイスト OLIVER TWIST」

貧民院に預けられ、葬儀屋に引き取られ、脱出してロンドンを目指すも、フェイギン率いる盗賊に拾われる。盗みに入ったところで捕まるも、ブラウンロー氏の証言により救われ、引き取られる。飾ってある女性の肖像画がオリバーに瓜ふたつなことに驚く。オリバーが泥棒としてつかまった際ブラウンロー氏が持っていた本の代金を支払うためオリバーにお使いに行かせる。そのままいなくならず戻ってくる、というブラウンロー氏に友人グリムウィグ氏は、「もしあの少年がこの家にもどったら、わしは自分の頭を食ってしまってもいいぞ」。グリムウィグ氏は、「自分の頭を食う」というのが口癖。そんなことがおきたら裸で走ってやる、みたいな感じ?行った途中で盗賊に見つかり連れ戻されてしまう。ブラウンロー氏はオリバー捜索の懸賞広告を出す。教区吏員のバンブル氏はお金の臭いを感じ興味を抱く。モンクスが盗賊集団にオリバーに強盗させるよう強く主張する。

オリバーは盗みに入った先で、銃に撃たれ倒れ、盗みに入った家のメイリー夫人に救われる。モンクスとバンブルが接触。バンブルの妻はアグネスを看取ったおばあさんが遺品を盗んで質草にしていたことを打ち明けられ、そこにお金の臭いを感じて取戻し手元に持っていた。バンブルがそれをモンクスに売り渡すと、モンクスは川に捨ててしまう。オリバーがブラウンロー氏と再会。ブラウンロー氏と盗賊集団のモンクスが接触。モンクスの父はブラウンロー氏の友人でモンクスを産んだ後、アグネスにオリバーを産ませ、アグネスとアグネスが産む子に相続させる遺言をしていた。モンクスはオリバーがいなくなれば財産を独り占めできる、と思って考えオリバーを探していた。メイリー夫人のもとにいるローズはオリバーの母アグネスの妹。オリバーはモンクスに遺産の半分を渡す。

 

「荒涼館 BLEAK HOUSE」

訴訟と出生の秘密をめぐって個性の強い人が入り混じるなかでのエスタの物語。「デイヴィッド・コパフィールド」の逆ヴァージョンのような話。

 

孤児のエスタ・サマソンがジャーンディス氏のもとのエイダ・クレアの世話役としては―フォード州にある荒涼館に住みこむことになる。まずケンジ・アンド・カーボイ法律事務所の弁護士ケンジに引率されて裁判所に出向く。遺産を巡るジャーンディス対ジャーンディス事件が数十年続き、関係者は亡くなったり、老いたり、書類も山積み。この裁判で皆、若狭、希望、美しさを失っていった。エイダと縁戚のリチャード・カーストンに会う。リチャードはエイダが好きで、遺産をあてにしている。医者を目指したり、弁護士を目指したり、陸軍に入ったり。「僕は、こんなに落着かない、まったく不しあわせなやつですが、しかし、どうしてこれ以上落着くことができるんです?・・・勝目、負目、いろんな変化に富んだ、この未完成の紛争の中へ生れて来たので、僕は・・・落着きをなくし始め、以来ずっとこの訴訟のために落着きを奪われとおしたあげく、今では、僕を信じきっている従妹のエイダを愛する資格さえない男なのだ」でも「大丈夫、僕たちの勝訴になりますよ」「この訴訟が終れば、僕は自活できるんです。」

事務所のガッピ―に率いられ荒涼館に向かう途中ミセス・ジェリビーの家に泊まる。彼女は子供たちよりも「望遠鏡的博愛」アフリカ開発に関心を抱く。途中には裁判官系の書類も扱う古船具商クルックの店がある。荒涼館に到着。

食事に招かれていたハロルド・スキムポールは、「人生の義務と責任」にとらわれない、人を信用しやすく、時間の観念がなく、お金の観念もなく、スケッチが好きで、親友ジャーンディス氏に紹介を受けた仕事もだめになり、「恋よりほかに生計の道がないので、恋をして、結婚して、ばら色のほおに取り囲まれる身になっ」り、「僕はあなたがたの幸福の貯金をふやすために、わざわざこの世へ生をうけて来た」、あなたがたは「僕のささやかな難儀を助ける機会を授ける恩人として生まれてき」て、雄蜂の哲学」「僕の住んでいる世界には、見るものがひじょうに多く、見る時間はひじょうに少ないので、まことに勝手ながら僕は方々を見物することにして、見物したくない人に養っていただきます」と、自分のことを第三者のように話す、快活で率直な魅惑的な人。肉屋に、「君には小ひつじの肉があったし、僕にはお金がなかった。君は肉を出さなければ、ほんとうに出したつもりになることはなかったわけだ。ところが僕はお金を払わなくても、ほんとうに払ったつもりになれるし、現になっているんだ!」

「ジャーンディス氏は、「なにか心の中にかっくしておくことのできない失望をあじわった場合に、じっさいにその原因となった事柄を非難したり、あるいは人をけなしたり、そしったりするよりも、むしろ東風にことよせて自分の失望を知らせる」風変りなやさしさを持ち、きげんの悪い時には「怒りの間」でどなるそうだ。「私は、だまされたり失望すると、―風にだよ、そして東風になると、ここへ避難するのだ。怒りの間が家中で一番使われている部屋なのさ。」。ジャーンディス氏はエスタに、裁判に忙殺されて家のことがおろそかになり、家が荒涼としてしまったのが、荒涼館と呼ばれる由来だと伝え、「君は家政をあずかっているあいだに、この家の空のくもの巣をきれいにとりはらってくれるだろうから、そのうちに私たちは「怒りの間」をあけりみなくなって、ドアを釘づけにしなければならないだろうね」。

ガッピ―はエスタに一目ぼれして、結婚を申し込む。

クルックのところで代書をするネーモーと名乗る男が殺され、本名がホードンということが分かる。トム・オール・アローンズ通りに住む浮浪者ジョーデッドロック家の顧問弁護士タルキングホーンや侍女マドモアゼル・オルタンスなどからいろいろ聞かれる。デッドロック家は上流社会の頂点に立ち、夫人は若くて美人。

行儀作法の大家ターヴィドロップ氏。息子のプリンスはミセス・ジェリビーの娘キャディと婚約。

ウッドコート家の息子の船医アラン・ウッドコートをエスタは好きになる。どうやら相思相愛。

金融ブローカーのスモールウィード家。

エスタとの関係を嗅ぎまわり、エスタの本名がホードンだということを知る。いつも酔っぱらっていたクルックが「自然発火」により死亡する。

エスタは失明の危機にまで至る重い病気にかかり美しい顔が変わり果ててしった。「つらいことのあとにはいいことがあります」。アランの好意を察していながら、勝手にお別れを決める。デッドロック夫人が母だと名乗り、別れを告げて秘密がばれてしまったため逃亡し、ホードンの墓の前にいるところを見つけられる。

ガッピ―が結婚の申し出をなかったことにしているのを察してエスタが断ると、ガッピーが一安心する。犯人が逮捕される。

一切を知ったうえでジャーンディス氏がエスタに、「荒涼館の主婦になっていただけませんか?」エイダとリチャードが結婚していたことを知り、ジャーンディス氏が「荒涼館はだんだんやせ細ってゆくねえ」と言うと「でも、そこの主婦は残っていますわ」「荒涼館をしあわせにするよう、一所懸命にやりますわ」。

アランに求婚される。「愛されるということは、とてもすばらしいことですわ!・・・嬉しさと悲しさがまじって、涙がこぼれますのー嬉しいと申しますのは、私が愛されているとわかったからです。悲しいと申しますのは、私がそれ以上の愛にあたいしない人間だからです。でも、私はあなたに愛していただいても、それに自由におこたえできる身ではないのです」と答えると、その理由がジャーンディス氏だと察し、祝福する。

ジャーンディス氏が、アランに「私の手からすばらしい贈物を受け取ってくれたまえ。・・・これと同じ名前の家を、この人がどんなすばらしい場所にしてくれたか」「西風になったよ、真西の風だ!」

訴訟に「けり」がつく。リチャードは衰弱死する。エスタは新たな「荒涼館」の主婦になる。ジャーンディス氏のために「怒りの間」も作る。ジャーンディス氏、エスタに家の由来を伝えた「あの日以来東風は消えてしまったのだ」。

  

リチャード・ロウ 原告の架空名

ジョン・ドウ 被告の架空名

アルビヨン グレートブリテン島の古名