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ソーシャル物理学 Social Physics アレックス・ペントランド

ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学

Social Physics how good ideas spread the lessons from a new science

’14’15草思社 アレックス・ペントランド MITメディアラボ創設

 

 

 直前に読んだ、善と悪の経済学からみると、社会を数学的に記述しようという真逆の内容。ただ、市場とか合理性と言う意味で数学を持ち出すのではなく、文化などを数学的に記述してみよう、という試み。そして、交通の便をよくして、人びとが交流する場を上手につくりだせば、創造性が増す、というのはまちづくりにおいて面白いポイント。 

 

社会物理学

情報やアイデアの流れと人々の高度の間にある確かな数理的関係性を記述する定量的社会科学

個人ごとの違いと個人間のつながりの両方を扱い、社会を数学的にとらえて予測可能にする科学

・ペナルティを使った規則や市場の競争に依存するのではなく、ソーシャルネットワーク・インセンティブを活用

・私たちが取る態度や思考は、他人の経験が統合されたものに基づいていて、文化と社会の基盤となっている ×主体性や個人選択

・市場や階級は平均像やステレオタイプを示す

市場←すべての人が同じものをみて、お互いに対等な条件で競争するのではなく、一部の人々がより良いコネを持ち、また別の一部の人々は他の人より事情に通じており、さらには距離とかタイミングといった副次的な要因によって影響される。人々は単に自己中心的で自律的であるわけではなく、他社との交流によって生み出された社会規範から大きく影響をうける

階級←仲間同士のグループではさまざまなグループに参加する

 

イデアの流れ いかにアイデアソーシャルネットワークの中を伝わるのか

ソーシャルネットワークを通じた新しい行動の伝播を、新しいアイデアを収集する探究行為と、その後に起きる仲間とのエンゲージメントを通じて、集められたアイデアの中から良いものを選び、習慣化する過程

 周囲への接触により健康習慣、政治志向、消費活動がアイデアの流れを規定

 自分の経験から学ぶより、周囲の高度に倣った方がずっと効率的だから

最善の学習戦略 90%が探究(うまく行動していると思われる人を見つける)

                 10%を個人による実験と考察

 

探究 新しいアイデアや戦略を発見する 創造性は個人の才能ではなく群衆の英知

   個人で考えたアイデアと、他人の行動から得られた社会的学習を結びつける

  ・社会的学習 成功した他人を真似る 自分のつながっている人を増やす

  ・多様性 集団志向やエコーチェンバー(共鳴)を防ぐ

  ・他人と反対の方向を取る人物 独自の情報を持っている

 準備的探究 事前に 多様な専門家たちと双方向の関係を築き、タスクを実行する際に頼る

速い思考 習慣や直観 過去の経験や他人の行動を観察することから導かれる連想

 より利他的、協力的で健全な社会を実現するうえで重要な役割を演じている

遅い思考 論理的思考 新しい結論に到達するために心の中にある信念が組み合わされる

 

エンゲージメント コミュニティのメンバー間で繰り返し行われる協力的な交流

問題に対する協調的な行動を見出すように社会的圧力を生み出すことで機能する

人々が自分の行動を適合させる

メンバー全員がチームの一部であるという意識を持たせることで、均一で調和したアイデアの流れをチーム内に生み出し、誰もが新しいアイデアに前向きに取り組めるように十分なコンセンサスをつくりだす 投票率が4倍になった

同じ集団に属するメンバーが新しいアイデアを受け入れるのを目にするだけで、それに加わって他のメンバーと協力しようという強いモチベーションが生まれる

 

社会的学習 新しいアイデアが習慣となる過程で生じる

 学習が社会的圧力によって加速したり、形作られたりする

ソーシャル・ネットワーク・インセンティブ

社会的圧力を生み、特定のアイデアに関するやり方を増加させ、その結果として人々がアイデアを行動として定着させる可能性を増やして、最終的にアイデアの流れを変化させる

個人に対する市場型インセンティブの4倍の効果

ターゲットなる人物と最も頻繁に交流しているバディには8倍の効果

直接的交流の回数からお互いをどの程度信頼しているか。社会的圧力の強さを予測できる

・交流が必要 繰り返し交流

・協力 チームメンバー全員に集団意識を持たせる

・信頼感 過去のやり取りの履歴とその結果が反映される

 

ソーシャル・ネットワークへの介入

・社会動員 短期的課題解決よりも新しい組織の構築

・チューニング アイデアの多様化を実現

・社会的エンゲージメントの活用 コモンズの悲劇への対処

集団的知性 

パフォーマンスの50%の決定要因

①アイデアの数の多さ

②交流密度の濃さ

③アイデアの多様性

 都市

①最も訪れる場所の訪問頻度は残りのすべての場所を合わせた訪問頻度を上回り、2番目に訪れる場所の訪問頻度はそれ以下の場所を合わせた訪問頻度を上回る べき乗則

②突発的な探究行為 訪れる頻度が最も低い場所

 

探究行為の多い都市は裕福になる 新しい経験を得て、新しい人々と知り合う行為は見返りがある

イデアの流れは、交通の便の良さと、同じ都市の住民間で生まれる交流の関数

社会的絆の密度が高いほど、アイデアの流れは大きくなり、生産性や創造性も高くなる

 社会階層や専門特化等の特別な社会構造を持ち出さなくても、GDP、研究開発活動の量、犯罪率などを人口から推定できる

 

デジタルメディアは対面でのコミュニケーションが持つ社会的シグナルを伝えることができないため、お互いの気持ちを読むことが難しいので、行動変化に必要な信頼を醸成するには向いていない

新しい行動を広めるというよりも、事実を広める方が適している

いちど現実世界での交流が始まると、その後離れた場所にいようと、デジタルメディア上での交流が信頼関係を強化する

 

デジタルパンくずを活用 一見意味のない微妙な身体運動の大きさやタイミング、たまたま誰かの近くにいたか、たまたま何を目にしたか、などのパンくずに社会を理解する宝がある 無意識に人の高度の影響を受けており、社会の実情を忠実に映している

 

データ駆動型社会 data-driven society

データのニューディール 公益を実現するために必要なデータをすぐ使えるように整備する一方で市民を守るという実効性のある保証を行う

課題①見せかけの相関関係が生じて簡単に間違った方向に導かれてしまう

   ②どうやって人間にも理解しやすい形にするか

 

超ネットワーク社会の規準

①社会効率 社会全体における最適な資源配分 見えざる手

 信頼できるデジタルの交換ネットワーク 開かれた市場とパーソナルデータの厳格な管理

②業務効率 機敏で、信頼性が高く、無駄なく機能する社会インフラ リアルタイムの状況の監視と、最良の反応が得られるアイデアを継続的に探究すること、それらアイデアに関するエンゲージメントによって状況変化に対する協調的で、一貫した反応を獲得する

レジリエンス(回復力) 社会システムの長期的安定性